複数の足をまとめて読むパターン
2〜3本のパターンは、連続する足の実体が互いにどんな関係にあるかで名前を付けます。後の足の実体が前の足の実体を覆っているか、真ん中の足が小さいか、最後の終値がどこまで戻したかを見ます。条件が複数の足にまたがるので、1本のパターンより信頼できると紹介されることもあります。この記事の定義は、下の実測で使った基準をそのまま書いたもので、「下落のあと」は、パターンの最初の足の直前の足の終値が、その5本前の終値より低い場合です。1本のパターンは「1本のローソク足パターン」の記事で扱いました。
強気の包み線と弱気の包み線
強気の包み線は、下落のあとに陰線が出て、次の陽線の実体が前の陰線の実体を完全に覆う形です。測定では、陽線の始値が前の終値以下、終値が前の始値以上で、実体が前の実体より長い場合を数えました。弱気の包み線は、上昇のあとの陽線を次の陰線の実体が覆う形です。コイン市場では次の足の始値がほぼいつも前の足の終値と同じなので、事実上「終値が前の足の始値を超えたか」が条件のほとんどになります。そのせいか、10銘柄の日足で強気の包み線(1,218回)と弱気の包み線(1,225回)は、この講座が数えたローソク足パターンのうち、同時線に次いでよく出ました。
例:架空の価格です。左は小さな陰線の次の陽線の実体が前の実体を完全に覆った強気の包み線、右は長い陰線の次の小さな陽線が前の実体の中に収まった強気のはらみ線です。
はらみ線:包み線をひっくり返した形
はらみ線は包み線とは反対に、実体の長い足の次に出た小さな実体が、前の実体の中に収まる形です。下落のあと長い陰線に続けば強気のはらみ線、上昇のあと長い陽線に続けば弱気のはらみ線と呼びます。一方向に大きく動いた次の足で、動きが小さくなったという意味です。上の図の右側が強気のはらみ線です。はらみ線はこの講座の測定に含めていないので、成績については述べません。
明けの明星と宵の明星
明けの明星は3本の足でできています。下落のあとの、実体が値幅の60%以上ある長い陰線、実体が1本目の実体の30%以下の小さな足、そして1本目の実体の中間より上で引ける陽線です。真ん中の小さな足を、夜明けの空に光る星にたとえた名前です。宵の明星はこれをひっくり返した形で、上昇のあとの長い陽線と小さな足、そして1本目の実体の中間より下で引ける陰線です。
例:架空の価格です。長い陰線、実体の小さな足、そして1本目の実体の中間より上で引けた陽線が続いた明けの明星です。教科書と違って、足と足の間に窓がありません。
教科書の窓と24時間市場
伝統的な定義の明けの明星では、真ん中の足の実体が1本目の実体と重ならずにその下に離れ、2つの実体の間にすき間(窓)がなければなりません。窓は主に、市場がいったん閉まってから別の価格で再び開くときにできますが、休みなく取引されるコイン市場では、次の足がほぼいつも前の足の終値から始まります。そのため、この講座の測定とこのサイトのローソク足パターン検知は、窓の条件なしに形だけを見ます。名前は同じでも、教科書のパターンとは少し違うものを数えているということです。
赤三兵と黒三兵
赤三兵は、実体の長い陽線が3本続く形です。測定では、3本とも実体が値幅の50%以上で、終値が順に高くなり、2本目・3本目の始値が前の足の実体の中にある場合を数えました。黒三兵は、実体の長い陰線3本が終値を順に切り下げていく形です。2つのパターンは直前の流れの条件なしで数えました。名前の「赤」と「黒」は足の色から来ていますが、色はチャートによって違い、このページの図では上昇の足が緑、下落の足が赤で描かれます。上昇の足3本と下落の足3本と覚えておけば混乱しません。
例:架空の価格です。実体の長い陽線3本が終値を順に切り上げながら続いた赤三兵です(この図では緑)。24時間市場では始値がほぼいつも前の足の終値なので、「始値が前の実体の中」という条件は自然に満たされやすくなります。
10銘柄の日足で測った結果
「1本のローソク足パターン」の記事と同じデータ(バイナンスの10銘柄の日足29,946本、各銘柄の上場日から2026年9月22日まで)で、パターンの最後の足の終値と5本後の終値を比べました。上昇のシグナルとして紹介される3つ(強気の包み線・明けの明星・赤三兵)はいずれも上昇割合が基準より少し低く、下落のシグナルとして紹介される3つのうち2つ(宵の明星・黒三兵)は基準より高くなりました。教科書とは反対の方向ですが、差はほとんどが数ポイントです。黒三兵の1本後の上昇割合65.8%(基準50.6%)は目を引きますが、標本は76件しかありません。
- 基準(すべての足):5本後の上昇50.5%
- 強気の包み線1,216回:47.9%、弱気の包み線1,224回:49.4%
- 明けの明星135回:46.7%、宵の明星141回:51.8%
- 赤三兵107回:48.6%、黒三兵76回:55.3%
BTCだけを切り出すと:小さな標本の落とし穴
BTCの日足だけを見ると、数字は大きく変わります。赤三兵は12回のうち9回(75.0%)で5本後のほうが高く、明けの明星は14回のうち4回(28.6%)しか高くありませんでした(BTC日足の基準は53.1%)。同じパターンが10銘柄全体では48.6%、46.7%で、BTCの4時間足では、赤三兵74回のあとの6本後の上昇割合が59.5%、明けの明星73回のあとが49.3%でした(基準52.0%)。標本が十数個なら、偶然だけでもこの程度の偏りは出ることがあります。硬貨を12回投げて表が9回以上出る確率は約7%と計算されるので、多くのパターンを一度に見れば、いくつかはこう見えやすいのです。
よくある誤解と、結論を急がない方法
この数字を見て「上昇型のパターンが出るとむしろ下がる」とまとめるのも、結論を急ぐことです。差はほとんどが数ポイントで、銘柄や足の長さを変えると方向が逆になりました。パターンについての主張を聞いたときは、次の点を順に確かめてみると、結論を急がずにすみます。この記事の数字も過去の一つの期間を測ったものにすぎません。戦略を過去の足で試すときに見るべき点は、「バックテスト結果の読み方」の記事に続きます。
- 標本はいくつか:数十個以下なら大きく揺れる
- 0や50%ではなく、すべての足の基準と比べたか
- 平均より先に、中央値・上昇割合を見たか
- ほかの銘柄・ほかの足の長さでも同じ方向か
- 定義を、結果を見る前に決めておいたか
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